ドレン回収装置とは
蒸気ドレンを再利用するエコモルダー
ドレン回収装置とは、蒸気ボイラーを使用する設備で発生するドレンを回収し、熱エネルギーや水を再利用するための装置です。 ビクター特販のエコモルダーは、ドレンの吸引回収に加えて、温度制御機能、除鉄機能、リザーブタンク連結機能を備え、蒸気ドレンの再利用、省エネ、CO2削減、生産性向上、ドレン障害の軽減を支援します。
- ドレン回収装置
- 蒸気ドレン回収装置
- ドレン回収タンク
- 熱回収装置
ドレン回収装置とは
ドレン回収装置とは、蒸気設備で使用された後に発生する高温のドレンを回収し、ボイラー給水や温水利用などに再利用するための装置です。
クリーニング工場、リネンサプライ工場、食品工場などでは、蒸気ボイラーで発生させた蒸気を、乾燥機、プレス機、アイロン、温水洗濯機、熱交換器などの熱源として使用します。 蒸気は熱を使った後に高温の水であるドレンとなりますが、このドレンにはまだ熱エネルギーが残っています。
ドレンをそのまま排出すると、熱エネルギーの損失、白煙の発生、周辺環境への影響、燃料費の増加につながる場合があります。 ドレン回収装置は、このドレンを回収して再利用することで、ボイラー燃料の削減や工場全体の省エネに役立ちます。
蒸気ドレンとフラッシュ蒸気の基礎
蒸気ドレンとは、蒸気が乾燥・加熱・プレスなどの工程で熱を渡し、凝縮して水に戻ったものです。復水(ふくすい)とも呼ばれ、高い温度と熱エネルギーを保持しています。
高圧の蒸気ドレンが低い圧力の配管やタンクへ放出されると、ドレンの一部が再び蒸発します。この再蒸発した蒸気がフラッシュ蒸気です。屋外で白い湯気として見えることがありますが、回収条件が適切であれば、その熱や水をボイラー給水、洗濯用温水、加熱工程などに再利用できます。
ボイラーで水を加熱して生成し、生産設備へ熱を運ぶ媒体です。
蒸気が熱を渡して凝縮した高温水です。回収可能な熱と水を含みます。
高温ドレンが減圧されたとき、その一部が再蒸発して生じる蒸気です。
ドレン回収装置の主な方式と違い
ドレン回収設備には、回収先を大気に開放する方式、圧力を保ったまま回収する方式、ポンプで圧送する方式、吸引力を利用する方式などがあります。実際の設備では複数の方式を組み合わせることもあり、蒸気圧力、配管距離、高低差、ドレン量、再利用先に応じた選定が必要です。
| 方式 | 基本的な仕組み | 主な利点 | 主な注意点 | 向いている条件 |
|---|---|---|---|---|
| 大気開放式 | ドレンを大気圧のタンクへ戻して貯留します。 | 構成が比較的単純で、設備を理解・管理しやすい方式です。 | 減圧時にフラッシュ蒸気が発生し、熱や水の一部を失う場合があります。 | 低圧のドレンを近距離で回収し、温水として利用する設備。 |
| 密閉式 | ドレンの圧力を保ちながら密閉配管で回収します。 | 高温ドレンの熱を維持しやすく、フラッシュ蒸気の放出を抑えやすい方式です。 | 圧力、背圧、配管、受入設備を含めた設計と安全管理が必要です。 | 高温・高圧のドレンをボイラー給水などへ再利用する設備。 |
| ポンプ圧送式 | 回収したドレンを機械式または電動ポンプで送ります。 | 高低差や背圧がある配管でも、必要な場所へ搬送しやすい方式です。 | ポンプの方式に応じた電源、駆動源、保守、キャビテーション対策が必要です。 | 自然流下だけでは戻せない長距離配管や高低差のある設備。 |
| 吸引回収式 | 流体を高速で噴射し、その勢いで周囲の流体を吸引する「エゼクター」と呼ばれる機構を利用して、機械や配管からドレンを回収します。 | ドレン側の背圧を軽減し、配管内に残るドレンの排出を促しやすい方式です。 | 吸引能力、配管抵抗、ドレン量、温度、タンク容量を現場条件に合わせる必要があります。 | 複数の蒸気使用機器からドレンを集め、温水として再利用する設備。 |
※方式名や構成は設備メーカーによって異なります。方式だけで優劣を決めず、現場条件に応じて選定します。
蒸気ドレンを再利用しない場合の課題
蒸気設備では、使用済み蒸気であるドレンやフラッシュ蒸気が発生します。これらを十分に活用できない場合、熱エネルギーが廃棄されるだけでなく、工場運営上のさまざまな課題につながります。
- ボイラー燃料費が増えやすい
- 蒸気使用量が増えやすい
- ドレンの白煙や湯気が発生しやすい
- スチームトラップ故障時にトラブルが発生しやすい
- ドレン背圧上昇により生産設備に影響が出る場合がある
- 鉄サビがポンプや電磁弁などの故障原因になる場合がある
- 温水洗濯機などで水温上昇に時間がかかる
- 設備や配管の劣化・陳腐化につながる場合がある
- ドレン障害の軽減が現場課題になりやすい
ドレン回収による省エネ効果の計算方法
ドレン回収の省エネ効果は、再利用する水量、回収前後の温度差、稼働日数、ボイラー効率などによって変わります。まず、回収熱量の概算は次の式で求められます。
回収熱量(kcal)= 再利用水量(L)× 温度差(℃)
水1Lの温度を1℃上げるために必要な熱量を、概算で1kcalとして計算します。
計算例:1日40,000Lの水を25℃から60℃まで昇温する場合
40,000L ×(60℃-25℃)= 1,400,000kcal/日
1,400,000kcal × 300日= 420,000,000kcal/年
社内申請資料では、この条件を原油換算して年間約45.3kLとし、装置が使用する電力の原油換算値約0.8kLを差し引いた年間省エネ量を約44.5kLと試算しています。
出典:株式会社ビクター特販「先進設備・システム応募申請書」。上記は一定条件による計算例であり、導入効果を保証する値ではありません。実際の試算ではボイラー効率、配管放熱、回収率、装置消費電力、稼働条件を確認します。
リネンサプライ工場における導入前後の測定事例
リネンサプライ工場で、熱交換式ドレンタンクからエコモルダーとリザーブタンクを組み合わせた設備へ更新し、温水洗濯工程でドレンの熱と水を再利用した事例です。生産量の違いを補正するため、年間総量だけでなく、リネン商品1,000点当たりの都市ガス使用量で比較しています。
| 測定項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 測定期間 | 2009年11月~2010年10月 | 2011年11月~2012年10月 |
| 年間都市ガス使用量 | 347,867m³ | 335,943m³ |
| 年間処理商品点数 | 11,423千点 | 12,266千点 |
| 商品1,000点当たり | 30.453m³ | 27.388m³ |
商品1,000点当たりの都市ガス使用量は約11%減少しました。年間ガス使用量と生産量を用いた申請資料上の省エネ率は10.1%です。
出典:大阪府立環境農林水産総合研究所「おおさかエコテック」申請資料、および株式会社ビクター特販「先進設備・システム応募申請書」。設備条件や生産量によって効果は異なり、同等の削減率を保証するものではありません。
エコモルダーとは
エコモルダーは、ビクター特販が製造・販売する「除鉄機能・温度制御装置付ドレン吸引回収装置」です。
蒸気ボイラー使用設備などで発生するドレンやフラッシュ蒸気を回収し、制御された温度の温水として再利用することで、ボイラー燃料の削減、温水利用の効率化、生産性向上、CO2削減、ドレン障害の軽減を支援します。
エコモルダーは、単にドレンを回収するだけでなく、温度制御機能、除鉄機能、リザーブタンク連結機能を備えている点が特徴です。
エコモルダーの主な特徴
排水温度制御のある排水管を保護しながら、ボイラー高温ポンプを使わずに温水運転へつなげます。リザーブタンク連結による保有水量の増加にも対応します。
各機械のドレン障害や高低圧ドレン管の単管化に対応し、スチームトラップの作動不良や排気蒸気の軽減、ポンプによる温水供給、スチームハンマー現象の軽減につなげます。
ドレンに混入する鉄サビを抑え、ポンプや電磁弁などの負担軽減を狙います。
回収系に異常が起きた場合でも、ドレンを別経路へ逃がせるようにして、設備への影響を抑えます。
スチームトラップの故障に伴うトラブル
スチームトラップが故障すると、ドレンと共に水蒸気も排出され、エネルギーロスとなるだけでなく、その他様々なトラブルを誘発します。
廃熱ドレン水についてエコモルダー利用の考え方
工場設備運営への考え
蒸気の熱エネルギーを利用し、高額多種の機械や設備を使用して生産活動を行う上で、蒸気を発生させるための燃料コストは低い方が良い。また生産活動で使用している高額多種の機械や設備の稼働には遅く、生産性は高い方が良い。また関わる労働時間は短く、工場近隣からのクレームは少ない方が良い、と考えております。
蒸気ボイラーの省エネについて
蒸気を発生させるためには、油・ガス・電気などの燃料エネルギーを購入し、水を蒸気に変えて生産活動を行うのですが、たとえば20℃の水を蒸気に変えるより、90℃の水を蒸気に変える方が燃料エネルギーは少ない使用量で済まされるため、工場の廃熱となったドレンの廃熱エネルギーを利用し、ボイラーへの供給温水温度はより高くする方が好ましいと考えます。
上記内容から供給温度を高くできたとしたとして、生産活動が遅すぎて好ましい温度になるよりも、できるだけ手早い段階で好ましい供給温度になった方が、より省エネ効果は高くなると考えます。
工場機械設備の劣化・腐食軽減について
蒸気は高圧であるため、蒸気機械設備の内部には、作業終了後、ドレン水が滞留することで内部からの腐食を発生させやすいと考えられるが、そうしたドレン水の滞留を軽減できた方が良いと考えます。
機械設備で発生するスチームハンマー現象はドレン水の滞留が要因の1つと考えられるが、それに対して機械や設備に対してメンテナンスは少ない方が良いと考えます。
設備の条件に応じた対応について
変わりゆく設備の条件に応じて本体装置の入れ替えを必要とせず、改造やオプション加工などの範囲で対応できる装置の方が良いと考えます。
設備スペースについて
大型のドレンタンク装置でスペースを大きく使用するよりも、小型装置でスペースの有効利用を行った方が良いと考えます。
使用水質について
使用条件によってはドレン中に含まれる鉄さび分を軽減できた方が良いと考えます。
設備のシンプル化について
工場設備で複雑に施工された多数の塊を被った配管パイプを簡素化(シンプル)にし、後々のメンテナンスや管理業務が簡易な方が良いと考えます。
近隣からのクレームについて
工場設備排気口から立ち上る湯気は、目で見て分かる排気物となるため、少しでも少ない方が良いと考えます。
生産性について
機械設備において温度が低く、生産終了後に温度が上がる等の設備は非効率との考えから、熱交換方式のような間接加熱方式ではなく、直接加熱方式で廃熱エネルギーを全て利用し、できた方が良いと考えます。
高温の温水を送る際、大型装置で各機械の集中供給方法だけではなく、機械設備の近隣設備を可能とし、即時供給させることができた方が良いと考えます。
ドレン背圧の背圧を軽減することにより、生産機械の生産性能をより正常化した方が良いと考えます。
仕組みと導入実例
エコモルダーの接続イメージと、導入前後の変化が分かる実例をあわせて確認できます。
導入効果
エコモルダーの導入により、蒸気設備で発生するドレンやフラッシュ蒸気を再利用し、燃料費削減、省エネ、CO2削減、生産性向上、近隣環境の改善などが期待できます。
ボイラー燃料費の削減に寄与します。
洗濯工程や加熱工程の温水を有効活用しやすくなります。
熱の再利用で、燃料消費の低減が期待できます。
背圧上昇やスチームハンマー現象の軽減を目指します。
工場周辺の視認性や環境配慮にもつながります。
温水洗濯機の昇温時間短縮、洗浄工程の効率化が期待できます。
リネンサプライ工場の測定事例では、商品1,000点当たりの都市ガス使用量が30.453m³から27.388m³となり、約11%減少しました。測定期間と生産量を含む詳しい条件は「導入前後の測定事例」に掲載しています。
エコモルダー製品ラインナップ
型番別ページへ画像付きで移動できるようにしています。製品画像を添えることで、ページをまたいでも違いが分かりやすくなります。
ドレン回収装置の導入前に確認すべきこと
ドレン回収装置は、既存の蒸気設備や配管に接続して使用するため、導入前に現場条件を確認することが重要です。
- 蒸気ボイラーの容量
- 蒸気使用設備の種類
- ドレン配管の状態
- スチームトラップの状態
- ドレン障害の有無
- 温水を再利用したい設備
- 必要な温水温度
- 必要な温水量
- 設置スペース
- 搬入経路
- 電源条件
- 給排水条件
- 既存タンクの有無
- 省エネ目的
- CO2削減目的
- 生産性向上目的
業種、工場の所在地、蒸気ボイラーの台数・容量、使用している蒸気設備、現在のドレン処理方法、白煙や湯気の発生状況、温水を利用したい設備、現在の燃料費や省エネ目標、設置スペース、配管写真、設備図面、希望導入時期などがあると相談がスムーズです。
受賞・認定・特許
エコモルダーとその関連技術は、大阪府立環境農林水産総合研究所による技術評価、発明表彰、省エネ機器・システム表彰、環境技術実証(ETV)などの対象となっています。以下では評価機関と時期を明記します。
実施機関:大阪府立環境農林水産総合研究所
技術評価日:2013年12月24日
実施機関:公益社団法人発明協会
受賞日:2015年10月20日
実施機関:公益財団法人日本発明振興協会
受賞日:2018年1月26日
実施機関:一般社団法人日本機械工業連合会
認定:2021年1月(令和2年度)
実施機関:一般社団法人日本機械工業連合会
認定:2021年1月(令和2年度)
登録機関:特許庁
登録番号:特許第5187707号
登録日:2013年2月1日
米国特許
登録日:2017年5月30日
登録機関:特許庁
登録日:2018年3月30日
実証事業:環境省 環境技術実証事業
実証年度:令和5年度
実証報告書:2024年3月
ドレン回収装置に関するよくある質問
Q. ドレン回収装置とは何ですか?
Q. オープン式とクローズド式のドレン回収装置は何が違いますか?
Q. フラッシュ蒸気とは何ですか?
Q. ドレン回収の省エネ効果はどのように計算しますか?
Q. 回収したドレンはそのまま再利用できますか?
Q. エコモルダーは通常のドレン回収装置と何が違いますか?
Q. どのような工場に向いていますか?
Q. 省エネ効果はどの程度ありますか?
Q. サビ対策にもなりますか?
Q. 既存設備に後付けできますか?
Q. 型番はどのように選べばよいですか?
Q. 見積もりには何が必要ですか?
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