既に実用化された先進的環境技術の環境保全効果等を第三者が客観的に実証する事により、その効果等を技術利用者等が適正に選択し、環境技術の普及・促進、環境保全及び環境産業の発展を目的とする事業です。
「生産性向上」や「エネルギー消費量の軽減」などが確認できました。また、単位洗濯重量あたりの削減効果は、ボイラの燃料削減効果は14.62%、CO2削減効果は14.15%であった。洗濯時間削減効果ではエコモルダー稼働による洗濯時間の削減効果が確認できた。なお、本実証試験の結果は実証試験対象設備において確認された効果であり、設備構成によっては、効果を示す数値が変動する。エコモルダーの稼働で屋外に排出されるフラッシュ蒸気の顕著な削減効果が実証された。 一方、除鉄装置の使用状況を確認したが、鉄さび等の付着は観察されなかった。 今回の実証試験ではエコモルダーがフラッシュ蒸気を利用しており、鉄さびをほとんど含んでいないドレンの利用であったことが原因だと思われる。 以上の結果から、エコモルダーを利用することにより10%以上の CO2 削減が可能である。との承認を頂く事ができました。
導入頂きました工場へはエコモルダー使用工場限定のステッカーをご用意させていただいております。任意ではありますが、環境配慮への取り組み事例として、工場へ掲示して頂ければと考えております。
本設備は蒸気を利用している生産設備から排出される使用済み蒸気(以下ドレンという)を、ボイラーへの回収熱や回収水などの再利用に限らず、再利用可能な領域を更に広げ、持続可能な未来の実現と地球環境の保全を目指し、より効率よく使用できることを目的とした装置となります。
蒸気ボイラー使用設備では、ドレン障害(背圧上昇によるもの、水分の溜まりによるもの、サビ粉によるもの)を軽減した上で、いつ漏洩過多となるか予測不能とされているスチームトラップの突発的な漏洩故障発生時にでも蒸気ボイラーや温水洗濯機へ供給する温水の急激な温度上昇を抑制し、生産障害の回避とすることを可能としました。また温水洗濯機では、永久磁石による除鉄機能や[ 熱回収システム ](ドレンに含まれる気体の湯気分使用)により、使用水質を向上させることができ、蒸気設備での再利用可能な領域も更に増やすことができました。また生産設備側では、機械や配管内部を真空にして乾燥させることによる設備自身の陳腐化や劣化の軽減による生産設備の延命や修理費用の負担軽減も可能とでき、更なるコストの削減から、環境負荷を大幅に低減し、持続可能な生産活動を目標とし、取り組んでおります。
工場より排出されているドレンのもたらす廃棄熱(湯気)の削減も環境負荷の軽減を目指す企業にとっては近隣環境への配慮として、必要な課題と考えております。
弊社としましては、エコモルダーを通じてクリーンで持続可能な未来の実現を目指しております。
実証機関:一般財団法人省エネルギーセンター
実証対象技術名:徐鉄機能・温度制御装置付ドレン吸引回収装置エコモルダー
実証申請者:株式会社ビタクー特販
実証番号:140ー2306
本実証報告書の著作権は、環境省に属します。
実証対象技術 | 除鉄機能・温度制御装置付ドレン吸引回収装置エコモルダー |
---|---|
実証申請者 所在地 | (会社名称)株式会社ビクター特販 (所在地)大阪府豊中市上津島2丁目18番20号 |
実証機関 所在地 | (会社名称)一般財団法人 省エネルギーセンター (所在地)東京都港区芝浦2丁目5番地11号 五十嵐ビルディング |
実証期間 | 令和5年10月23日〜令和6年3月29日 |
技術の目的 | 本技術は多くの蒸気ボイラ使用工場から排水や湯気(フラッシュ蒸気)として廃棄されているドレンの温水として再利用可能な領域を増やすことにより、ボイラが燃焼するために必要な燃料の消費量軽減から燃焼量も軽減でき、ボイラ燃焼時に排出するCO2温室効果ガスの削減から環境負荷を低減する技術です。 |
本装置の電源を入れ、ポンプを稼働させることにより、タンク内部の水を撹拌させタンク内部上下の温度一定化を行い、エゼクターにてドレン吸引口を負圧とし、循環水とのミキシングも行い、永久磁石に通過させて鉄さびの障害を軽減させている。また そのポンプ循環ラインから 2 次側機械に上限温度設定された温水を供給できるようにしている。
タンク内部の水及び循環水は温度制御装置にて上限の温度制御を行っている。
クリーニング・リネンサプライ業界では、生産活動の流れとして蒸気ボイラに水を入れ、次に燃料(ガス・油)などで燃焼させることで 水を温め、更に加熱し蒸発させることにより 水蒸気を発生させ、その水蒸気を更に加熱して蒸気 (概ね120〜180℃)の熱エネルギーを熱源として、乾燥やプレス・アイロン・温水による洗浄などの生産活動を行っている。
その生産過程で 熱エネルギーを奪われ、使用済みとなった蒸気はスチームトラップ (蒸気熱エネルギーの不要となった分を自動的に排出する機器)から廃棄され、概ね100℃の気体と液体との混合水からなる使用済み蒸気及び熱水の全ては再利用されずに多くは廃水されている。
蒸気ボイラへ供給する水は 15℃の水を供給するよりも廃水されているドレンを再利用して、90℃程度の温水を供給した方が、蒸気を発生させるのには早く発生する上に、燃料使用量、つまり燃料費も少なくて済む。
また 温水洗濯機では 汚れ落ち良く洗浄することや、除菌などの目的のために、15℃程度の水に多量の蒸気を投入して昇温させてから洗濯工程を開始しているが、これも供給する水を 50〜80℃に調整した温水を供給した方が、洗濯時間を短縮できる。またドレンの持つ熱エネルギーを回収して再利用することで、蒸気ボイラの燃料使用量の削減、つまり燃料費が削減できる。
申請者は、ユーザーからの意見・要望を受けて、ドレン吸引式の回収装置の採用を前提条件として、独自に温度制御機能、除鉄機能、リザーブタンクとの自然対流による連結方式を用いた設備増強、熱回収・再利用システムなど、改善・改良を、試行錯誤しながら製品化してきた。
・蒸気ボイラの燃料使用量の削減
・鉄さびやスチームハンマーが原因となるドレン障害による生産障害、設備の劣化の削減
・排水しているドレンの熱エネルギーを直接的に回収する再利用機能開発
除鉄装置:永久磁石を用いて鉄さびを吸着させる装置
ドレン吸引装置:エコモルダーの循環ポンプを用いて温水を循環させ、ベンチュリ―効果によりドレンを吸収する装置
型式 | VESK | VES | VEW | VET-4 |
---|---|---|---|---|
タンク容量 | 230L | 250L | 250L | 440L |
ポンプ電源・電圧 | 200V 0.75kW | 200V 0.75kW | 200V 1.5kWX2 | 200V 3.0kW |
吸引口径 | 32A | 32A | 32AX2 | 80A |
温水循環口径 | 32A | 32A | 40A | 50A |
温水戻り口径 | 15A | 25A | 25A | 32A |
リザーブ連結口径 | 32AX2 | 50AX2 | 50AX2 | 80AX2 |
排気口径 | 32A | 50A | 50A | 80A |
排水口径 | 32A | 50A | 50A | 80A |
ブロー口径 | 32A | 32A | 32A | 32A |
自動ブロー口径 | 15A | 15A | 15A | 15A |
蒸気ボイラ設備を有する各種の工程、つまり温水需要のある工場等が導入対象である。
特に、クリーニング・リネンサプライ業界では蒸気ボイラの燃料使用量を抑えることによるコストダウンに向けて、ドレンの再利用可能な領域を増加すること、熱回収効率を高めるニーズがある。その上で、ドレン水タンク内の鉄さびが原因となる設備の保全間隔を延長しすることを目的に開発した装置である。
・【熱回収装置及び熱回収システム】H25.2 特許取得/※米国特許も取得※
・【蒸気循環システムにおける管路乾燥方法】H30.3 特許取得
・【熱回収システム】R2.10 特許取得
本装置は、平成 24 年に現在のモデルに変更し、平成 30 年は管路乾燥を可能とした改良装置を開発し、更なる工場設備の機械や配管の劣化対策を付加した。また、令和 2 年には[熱回収システム] (ドレンの気体の湯気分使用)による、温水の再利用可能な領域を拡大することを主眼とした特許も取得した。今までに、おおさかエコテック【技術評価書】/ 公益社団法人 発明協会【発明奨励賞】/ 公益財団法人 日本発明振興協会関西支部【優秀発明賞】/ 一般社団法人 日本機械工業連合会【会長賞】などを受賞し、他に環境省の【二酸化炭素排出抑制対策事業費 補助金】などで採択された。なお、本装置は循環ポンプを採用していることから、上限の使用温度範囲は95℃までを限界としている。
設置条件はドレン吸引回収し温水を供給する装置であることから、給水/ドレン/温水/排気/ブローの各配管類や動力電源 200VAC が必要である。また、装置の設置場所としては水害等で漏電が発生しない地区での導入が望まれ、受注生産品であることから装置の設置状況等に応じて製品コストの最適化を図っている。
実証製品の設置場所において、実証製品の稼働時と停止時におけるボイラ燃料使用量及び電力使用量を計測し、実証製品の CO2 削減を含むそれぞれの省エネ効果を実証する。
実証項目 | 実証する性能(値) |
---|---|
CO2削減効果 | 実証試験時間における実証設備の電力・燃料使用量を比較しエコモルダーによる燃料削減効果、エネルギー削減効果から重量当たりの CO2 削減効果が 10%以上あることを実証する。 |
実証(試験)場所 | 株式会社A社 クリーニング工場 兵庫県尼崎市内 |
---|---|
実証(試験)場所の各種情報等 | エコモルダーを設置したクリーニング会社で、実証実験は日を違えてエコモルダー稼働時と停止時で実施する。実証実験条件を揃えるため、当該工場でほぼ同一の被洗濯物を処理するために同一曜日(木曜日)を選定した。実証実験時間は実施場所において安定した操業をしている昼間の4時間とした。 |
設備名 | 型式名 | 仕様 |
---|---|---|
エコモルダー | ビクター特販 VESK | 貯水能力 180L、吸引回収量 1,000L/h |
蒸気ボイラ No.1 | 三浦工業 EH-500F | 蒸発量 500kg/h |
蒸気ボイラ No.2 | 三浦工業 SU-400 | 蒸発量 400kg/h |
洗濯脱水機 No.1 | 山本製作所 WN353 | 処理能力 35kg |
洗濯脱水機 No.2 | 山本製作所 WN353 | 処理能力 35kg |
洗濯脱水機 No.3 | 稲本製作所 IWE-50EB | 処理能力 50kg |
日程 | 項目 |
---|---|
令和5年12月11日 | 第1回技術実証検討会開催(計画作成) |
令和6年2月1日 令和6年2月8日 | エコモルダー稼動時の実証試験実施 エコモルダー停止時の実証試験実施 |
令和6年3月5日 | 第2回技術実証検討会開催(実証実験報告) |
令和6年3月14日 | 第3回技術実証検討会開催(報告書作成) |
エコモルダー稼働と停止状態における各設備の電力使用量、燃料使用量を表3及び表4に洗濯重量の測定結果を表5及び表6に、実験結果のまとめを表7に示す。
電力使用量(kWh) | ||||
---|---|---|---|---|
設備名 | 消費電力量(kWh) | 一次エネルギー量(MJ) | CO2排出量(Kg-CO2) | |
エコモルダー | 3.55 | 30.6 | 1.6 | |
ボイラ(No.1) | 2.76 | 23.9 | 1.2 | |
ボイラ(No.2) | 2.44 | 21.1 | 1.1 | |
洗濯機(No.1) | 4.32 | 37.3 | 1.9 | |
洗濯機(No.2) | 2.06 | 17.8 | 0.9 | |
洗濯機(No.3) | 4.77 | 41.2 | 2.1 | |
小 計 | 19.90 | 172.0 | 8.7 | |
燃料(灯油)使用量(kg) | 106.45 | 4,856.8 | 332.7 | |
合 計 | 5,028.7 | 341.4 |
電力使用量(kWh) | ||||
---|---|---|---|---|
設備名 | 消費電力量(kWh) | 一次エネルギー量(MJ) | CO2排出量(Kg-CO2) | |
エコモルダー | 0.00 | 0.0 | 0.0 | |
ボイラ(No.1) | 2.78 | 24.0 | 1.2 | |
ボイラ(No.2) | 2.84 | 24.5 | 1.2 | |
洗濯機(No.1) | 4.49 | 38.8 | 2.0 | |
洗濯機(No.2) | 1.97 | 17.0 | 0.9 | |
洗濯機(No.3) | 4.85 | 41.9 | 2.1 | |
小 計 | 16.92 | 146.2 | 7.4 | |
燃料(灯油)使用量(kg) | 115.2 | 5,256.0 | 360.0 | |
合 計 | 5,402.2 | 367.4 |
No | 項目 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 6回目 | 7回目 | 合計(平均) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 洗濯重量(kg) 給水温度(℃) | 48.4 | 14.9 | 65.4 | 37.8 | 42.2 | 45.3 | 16.5 | 270.3 |
43.1 | 31.1 | 43.6 | 54.1 | 54.1 | 54.2 | 49.0 | 46.7 | ||
2 | 洗濯重量(kg) 給水温度(℃) | 46.5 | 35.7 | 63.0 | 63.3 | 13.9 | 25.6 | 13.6 | 261.6 |
42.4 | 37.4 | 45.9 | 54.3 | 52.8 | 15.5 | 51.3 | 42.8 | ||
3 | 洗濯重量(kg) 給水温度(℃) | 58.8 | 68.3 | 103.2 | 102.6 | 52.0 | 81.6 | 466.4 | |
46.2 | 39.4 | 42.6 | 53.0 | 39.2 | 39.2 | 44.1 | |||
総計 | 998.2 |
No | 項目 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 6回目 | 7回目 | 8回目 | 合計(平均) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 洗濯重量(kg) 給水温度(℃) | 42.9 | 56.7 | 48.6 | 36.1 | 18.8 | 35.3 | 16.1 | - | 254.5 |
11.8 | 12.1 | 12.4 | 12.5 | 12.1 | 11.7 | 11.9 | - | 12.1 | ||
2 | 洗濯重量(kg) 給水温度(℃) | 36.9 | 25.1 | 64.8 | 17.8 | 42.8 | 25.1 | 11.2 | - | 223.4 |
11.7 | 12.1 | 12.2 | 12.2 | 11.7 | 11.7 | 11.8 | 11.9 | |||
3 | 洗濯重量(kg) 給水温度(℃) | 52.2 | 59.3 | 49.0 | 37.7 | 39.4 | 77.0 | 72.4 | 57.7 | 444.5 |
12.1 | 12.3 | 12.2 | 12.2 | 12.3 | 11.8 | 11.7 | 11.9 | 12.1 | ||
総計 | 922.3 |
項目 | エコモルダー稼動状態 | エコモルダー停止状態 |
---|---|---|
燃料使用量(kg) | 106.45 | 115.2 |
消費電力量(kWh) | 19.90 | 16.92 |
一次エネルギー量(MJ) | 5,028.7 | 5,402.2 |
CO2排出量(kg-CO2) | 341.4 | 367.4 |
洗濯重量(kg) | 998.2 | 922.3 |
洗濯重量 100 s当たりのエネルギー削減効果を表 8 に示す。
項目 | エコモルダー稼動状態 | エコモルダー停止状態 | 削減効果(%) |
---|---|---|---|
燃料使用量(kg) | 10.66 | 12.49 | 14.62 |
消費電力量(kWh) | 1.99 | 1.83 | -8.67 |
一次エネルギー量(MJ) | 503.78 | 585.73 | 13.99 |
CO2排出量(kg-Co2) | 34.20 | 39.84 | 14.14 |
効果試算に用いた公表されている電力一次エネルギー換算係数・CO2 の排出係数、並びに、燃料の高位発熱量を表9に示す。
係数名 | 係数 | 備考(根拠) |
---|---|---|
電力一次エネルギー換算係数 | 8.64 GJ/千 kWh | R4 改正省エネ法値(電気事業者からの買電化石分) |
灯油単位発熱量 | 36.5GJ/ kL | 環境省発表「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」(令和5年12月12日更新)値 |
灯油 CO2 排出係数 | 2.50t-CO2/kL | 環境省発表「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」(令和5年12月12日更新)値 |
電力 CO2 排出係数 | 0.438 t-CO2/千 kWh | 関西電力送配電(株)R4年度実績 調整後排出係数 |
灯油比重 | 0.8k/L | 石油学会公表値 |
今回の実証試験では、試験対象であるエコモルダーの稼働状態と停止状態における蒸気ボイラの燃料(灯油)の使用量、洗濯機の電力量、エコモルダー自身の電力使用量から、省エネルギー性を評価した。
結果として、エコモルダーの省エネルギー性は洗濯重量 100kg 当たりでは、13.99%の効果が実証された。
試験対象であるエコモルダーが省エネルギー性を発揮する原因は以下の通りである。
洗濯機の本洗には温水を使用している。エコモルダーが停止している時は井水・市水を洗濯機に給水したのち、ボイラが製造する蒸気で洗濯水を設定温度まで加温している。一方、エコモルダーは井水・市水を加温した上で洗濯機に給水するため、エコモルダーによる洗濯水設定温度に達するまでの加温時間が短縮できる。
図3に検証試験期間における給水温度に対する平均洗濯時間の比較図を示す。エコモルダー稼働/停止では給水温度に約 34℃の差があり、これにより洗濯時間が29分59秒から28分24秒まで5.3%(1分35秒)短縮していることが実証された。
単位洗濯重量あたりの削減効果は、ボイラの燃料削減効果は14.62%、CO2削減効果は14.15%であった。洗濯時間削減効果ではエコモルダー稼働による洗濯時間の削減効果が確認できた。なお、本実証試験の結果は実証試験対象設備において確認された効果であり、設備構成によっては削減効果が変化する事が考えられる。
注意: このページに示された情報は、技術広報のために全て実証申請者が自らの責任において 申請した内容であり、環境省及び実証機関は、内容に関して一切の責任を負いません。
項目 | 実証申請者又は開発者 記入欄 | |
---|---|---|
製品名・型番 | 除鉄機能・温度制御装置付ドレン吸引回収装置エコモルダー | |
製造(販売)企業名 | 株式会社ビクター特販 | |
連絡先 | TEL/FAX | TEL:06-6863-3666 FAX:06-6863-3681 |
Web アドレス | https://www.lc-victor.com/ | |
hirata@lc-victor.com | ||
設置・導入条件 | 蒸気ボイラがあり、蒸気の熱エネルギーを利用した機械や設備によって、生産活動を行っている工場や施設 | |
必要なメンテナンス | 年に一度の定期メンテナンス機械内部に設置してある永久磁石の鉄さびの清掃(毎日推奨) | |
耐候性と製品寿命等 | 屋内仕様 | |
施工性 | 屋内設置スペース(機種による) 電源(動力 200VAC) 蒸気ドレン取り出し経路(新設・既設問わずドレン排水配管が必要) |
|
コスト概算 | イニシャルコスト | |
設計費 200,000円 設備費 3,500,000円 工事費 1,000,000 円 |
本設備は、使用済み蒸気(以下ドレンという)を吸引回収する事でドレン障害や配管の劣化を軽減すると共に、ドレンから熱回収して洗濯水として再利用することで加温に使う蒸気ボイラの燃料使用量を削減し、設備全体の熱エネルギーの利用効率を改善することを目的とした設備である。
●大阪府立環境農林水産総合研究所【技術評価書】平成25年12月
●発明協会【発明奨励賞】平成27年10月
●日本発明振興協会関西支部【優秀発明賞】平成30年1月
●日本機械工業連合会【会長賞】令和3年3月
●サステナブル経営推進機構【奨励賞】令和5年12月
●経産省【省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金】令和5年5月
環境技術実証事業(以下「実証事業」という。)は、既に実用化された先進的環境技術の環境保全効果、副次的な環境影響、その他、環境の観点から重要な性能(以下「環境保全効果等」という。)を第三者が客観的に実証することにより、環境技術実証の手法・体制の確立を図るとともに、環境技術の利用者による技術の購入、導入等に当たり、環境保全効果等を容易に比較・検討し、適正な選択を可能にすることにより、環境技術の普及を促進し、環境保全に寄与し、中小企業の育成も含めた環境産業の発展に資することを目的とする。
実証事業は、国際規格である ISO14034:2016[Environmental management -- Environmental technology verification (ETV):環境マネジメント−環境技術検証(ETV)]に準拠しており、国際的に統一された枠組みで実証事業を運用している。
本実証事業において「実証」とは、環境技術の開発者でも利用者でもない第三者機関が、環境技術の環境保全効果等を試験等に基づき客観的なデータとして示すことをいう。なお、環境技術とは環境改善効果又は環境保全効果をもたらす先進的技術、並びに、環境に関する先進的な測定技術と定義する。「実証」は、一定の判断基準を設けて、この基準に対する適合性を判定する「認証」とは異なる。
本報告書は、環境技術実証事業実施要領[環境省大臣官房総合政策課環境研究技術室:令和5年11月16日](以下「実施要領」という。)の「別紙 5 実証報告書及び実証報告書概要版に記載する事項」及び「別紙 6 実証報告書作成要領 Ver.3.2」に基づき、作成されたものである。本実証では、実施要領に基づいて実証対象技術として選定された「除鉄機能・温度制御装置付きドレン吸引装置エコモルダー」について、以下に示す環境改善効果又は環境保全効果等を客観的に実証した。
・エコモルダーの稼働状態及び停止状態における蒸気ボイラの燃料(灯油)の消費量、洗濯機の電力使用量、エコモルダー自身の電力使用量の比較による省エネルギー性評価
また本報告書は、専門家で構成される技術実証検討会において、実証結果に基づき実証対象技術の環境保全効果等について検討を行った。本報告書はその実証結果を取りまとめたものである。
実証に参加する組織及び実施体制を図4に示した。また、実証参加者と責任分掌を表 10 に示した。
実証への参加組織及び責任者等は、以下の通りである。
○実証機関:
一般財団法人省エネルギーセンター CN ソリューション部 部長 竹谷 則明
〒108-0023 東京都港区芝浦 2-11-5 五十嵐ビルディング
○実証申請者:
株式会社ビクター特販
営業部 福浦 和成、川端 悠人
大阪府豊中市上津島2丁目18番20号
○試験実施場所:
株式会社 A 社 クリーニング工場
兵庫県尼崎市内
区分 | 実証参加機関 | 責任分掌 | 参加者 |
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実証機関 | 一般財団法人省エネルギーセンター | 実証事業の運営管理 | CN ソリューション部長 竹谷 則明 |
実証計画の策定 | |||
技術実証検討会の設置・運営 | |||
実証試験の実施 | |||
実証(既存データの検証)の実施 | |||
実証報告書の作成 | |||
実証結果の内部監査の実施 | |||
実証に関する経理等 | |||
経理に係る内部監査の実施 | |||
実証申請者 | 株式会社ビクター特販 | 技術情報の提供 | 営業部 福浦 和成 川端 悠人 |
既存データの情報の提供 | |||
実証対象技術の各種情報及び維持管理マニュアル等の提供 | |||
試験場所の提供 | |||
実証対象技術の準備 (運搬、設置及び撤去等) |
|||
実証対象技術の運転及び維持管理等 | |||
実証(試験)に係る費用の負担 | |||
実証(既存データの検証)に係る費用の負担 | |||
試験の実施協力 |
本技術は多くの蒸気ボイラを使用する工場から排水や湯気として廃棄されているドレンが保有する熱エネルギーを回収して、再利用可能な領域を増やすことにより蒸気ボイラの燃料消費量の削減、並びに、蒸気ボイラ燃焼時に排出される CO2 温室効果ガスの削減に依拠して環境負荷を低減する技術である。
クリーニング及びリネンサプライ業界では、燃料を焚いてボイラで水を温め、概ね 120〜180℃の蒸気を製造し、乾燥やプレス・アイロン・温水による洗浄などの生産活動を行っている。蒸気の製造において、蒸気の圧力に応じた顕熱と潜熱のための加熱が必要であり、使用済みの蒸気は気体と液体が混合した常圧のドレンとして熱利用されずに多くが排水されてきた。廃水されている概ね 100℃のドレンを直接利用して、蒸気ボイラに 90℃程度の給水として供給することで、蒸気ボイラによる蒸気の製造の時間短縮および燃料消費量(燃料費)が削減される。
顧客のニーズに基づく主要な開発課題を次に示す。
・蒸気ボイラの燃料消費量の削減(省コスト性)
・ドレンによる鉄さびの発生やスチームハンマー等の設備への障害の回避
・設備の保全費用の削減、並びに、設備老朽化の要因の除去
・ドレンの熱エネルギーの利活用(給水量の削減、熱回収による省エネルギー性)
ドレン障害への軽減能力が最も優れているドレン吸引式の回収装置を開発するに当たり、独自の温度制御機能、除鉄機能、リザーブタンクとの自然対流による連結方式を採用するなど、試行錯誤を繰り返しながら製品開発を進めてきた。
エコモルダーは廃熱再利用として蒸気ボイラ燃料使用量及び CO2 軽減など省エネに貢献でき、CO2の排出量の削減が実現した装置である。
エコモルダーの導入により、洗濯重量 100kg 当たりで 13.99%の省エネルギー性が実証された。また、エコモルダーの運転により給水温度に約 34℃の差があり、洗濯時間において 5.3%(1 分 35 秒)の短縮が実証された。
タンク水温制御機能があり、排水温度制御のある排水管の保護や水洗機・蒸気ボイラ・温水利用機械等への温水適温の利用目的を叶える利用方法及び蒸気ドレン用高温ポンプの不採用など、活用範囲の広い装置である。
温水洗濯の使用水質向上を目的とした永久磁石を採用して除鉄機能を付加したことで、ドレン回収タンク内の鉄さびの滞留を軽減、2 次側機械設備である蒸気ボイラや洗濯機及び温水利用機械への鉄さびの流入、ストレーナーの鉄さびによる閉塞障害が軽減されている。
ドレンに含まれる蒸気分の再利用で熱エネルギーの利用可能領域を拡大し、温水使用量増加のニーズに対応するためにリザーブタンクの連結による保有水量の増加を可能にする手段は、後付施工できる機能である。生産設備側では機械や配管内部を真空にして乾燥させることで設備・配管の腐食による劣化を軽減する機能、生産設備の延命や修理費用の負担軽減、近隣環境への配慮として、工場より排出されている蒸気ドレンの湯気の削減を図った装置である。
本実証対象技術は受注生産品であるため、試験実証対象設備の仕様を表 11 に示す。
設備名 | 型式名 | 仕様 |
---|---|---|
エコモルダー | ビクター特販 VESK | 貯水能力 180L、吸引回収量 1,000L/h |
蒸気ボイラ No.1 | 三浦工業 EH-500F | 蒸発量 500kg/h |
蒸気ボイラ No.2 | 三浦工業 SU-400 | 蒸発量 400kg/h |
洗濯脱水機 No.1 | 山本製作所 WN353 | 処理能力 35kg |
洗濯脱水機 No.2 | 山本製作所 WN353 | 処理能力 35kg |
洗濯脱水機 No.3 | 稲本製作所 IWE-50EB | 処理能力 50kg |
実証試験場所を以下に示す。
実証(試験)場所 | 株式会社 A 社 クリーニング工場 兵庫県尼崎市内 |
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実証(試験)場所の各種情報等 | エコモルダーを設置したクリーニング会社で、実証実験は日を違えてエコモルダー稼働時と停止時で実施する。実証実験条件を揃えるため、当該工場でほぼ同一の被洗濯物を処理するために同一曜日(木曜日)を選定した。実証実験時間は実施場所において安定した操業をしている昼間の4時間とした。 |
エコモルダーを実際設置しているクリーニング工場で、エコモルダーの稼動時と停止時における蒸気ボイラの燃料使用量、電力使用量(エコモルダー、ボイラ、洗濯機)、洗濯量、洗濯時間、温水温度を測定し、エコモルダーの稼動時と停止時で CO2 削減効果を評価する。
なお、試験条件を揃えるためにエコモルダー稼働時と停止時状態について試験日を違えて実施した。つまり、当該工場で概ね同一の被洗濯物を処理する同一の曜日(木曜日)を選定し、試験実施時間として、当該工場において安定した連続操業をしている昼間の 4 時間とした。さらに、洗濯量の変化による誤差を無くすために、洗濯量を測定し、洗濯量当たりの削減量で評価する。
試験時の実証対象技術の全体構成として、評価した設備の構成機器と配管系統図を図5に示す。
ボイラで製造する高圧の蒸気(0.6MPa-G)は乾燥機と洗濯機に供給される。乾燥機に送られた蒸気は乾燥用空気の加温(間接加温)に、洗濯機に送られる蒸気は洗濯水の加温(直接加温)に使用されている。乾燥機で使用した蒸気はスチームトラップで高圧ドレン水としてドレン配管に排水される。
高圧ドレン水はドレン配管中で大気圧(0MPa-G)に減圧されドレンタンクに戻される。その際、ドレンが保有する熱エネルギーのうち、大気圧の飽和水エンタルピー以上の熱エネルギーは、フラッシュ蒸気として再蒸発する。
エコモルダーが稼働している場合は、フラッシュ蒸気をエコモルダーが回収する。エコモルダーは回収したフラッシュ蒸気で洗濯水(井水)を加温し、洗濯機に供給する。洗濯機はエコモルダーから供給された温水または直接供給される井水を洗濯水として使用する。その際、洗濯水の温度が洗濯機の設定温度以下の場合、ボイラ蒸気を直接吹き込んで加温する。フラッシュ蒸気分が除かれた大気圧ドレン水はドレンタンクに回収された後にボイラに再供給される。
エコモルダーが停止している場合は、洗濯機への温水供給が停止されるため、フラッシュ蒸気は大気圧ドレン水とともにドレンタンクに回収される。ドレンタンクの温水は補給水ポンプでボイラに供給される。その際、回収ドレンによりドレンタンク水温がポンプの限界温度以上になると、ポンプが補給水をボイラに供給できなくなるため、タンクの高温水を排水、排出量に相当する補給水(市水)を注水することで水温が下がる。
エコモルダーが停止している場合には、この現象が確認されたが、エコモルダーが稼働している場合にはこの現象は観察されなかった。
図6 に実証設備を示す。
日程 | 項目 |
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令和5年12月11日 | 第1回技術実証検討会開催(計画作成) |
令和6年2月1日 令和6年2月8日 | エコモルダー稼動時の実証試験実施 エコモルダー停止時の実証試験実施 |
令和6年3月5日 | 第2回技術実証検討会開催(実証実験報告) |
令和6年3月14日 | 第3回技術実証検討会開催(報告書作成) |
実証試験時間における実証設備の電力・燃料使用量を比較しエコモルダーによる燃料削減効果、エネルギー削減効果から重量当たりのCO2削減効果が10%以上あることを実証する。
併せて、洗濯時間の削減割合や、未利用の蒸気の排出状況や、給水タンクからのブロー状況をエコモルダーの稼働・非稼動で比較のために状況を確認する。
a.実証試験設備の確認
実証試験設備を実証機関監督者が下記の確認要領に従い確認し、実証試験の正当性の判断を行う。
a-1 実証機器:実証機器の目視確認、取付状況の確認
a-2 試験設備:計測機の数・取付位置の確認、校正状況(時期、証明書)の確認
a-3 試験条件:実証試験環境(温湿度)の確認、実験・記録条件(時間、数、間隔)の確認
a-4 試験状況:実証試験内容が事前に定めた内容に沿っていることの確認
b.実証試験の実施
●燃料使用量:実証試験開始時刻に燃料タンクを満杯にし、試験中にタンクから減少した燃料を計量しながら補充していく。実証試験終了時刻までに補充した燃料の合計をもって実証試験時間の燃料消費量とする。
●電力使用量:エコモルダー、蒸気ボイラ、洗濯機の消費電力を実証試験時間において 10sec のサンプリングタイムで計測し、電流ロガーに記録する。
計測機器類:日置電機製 電流ロガー LR5051 及び日置電機製 電流センサ CT6500
●洗濯量:実証試験時間に各洗濯機が処理した被洗濯物の量は、乾燥前と洗濯終了後(脱水工程後)の重量(WET 状態)を計量し、記録する。
計測機器類:離測式デジタル台ばかり EO-180(最大 180kg 精度 0.05 s)
●洗濯時間(処理時間):電流ロガーで記録した洗濯機電流データから、実証試験時間における洗濯機稼働時間を算定する。
●温水温度:エコモルダーより供給される洗濯温水、蒸気ボイラ補給水、井水、市水の各温度は実証試験時間において 10sec のサンプリングタイムで計測し、温度ロガーで記録する。計測機器類:T&D
製 温度ロガーTR-71UI 及び 温度センサ TR-0106
c.実証試験の計測状況を図 7 に示す。
各洗濯機の動作が1サイクル(予洗)→本洗→すすぎ→脱水の工程であることを確認した。
そのうちエコモルダー(実証試験対象機)による温水を使用するのは本洗工程である。
ボイラの燃料使用量は、燃料タンクの燃料重量で計測した。実証設備のそれぞれの電力使用量は分電盤にセンサを設置し計測した。洗濯重量は洗濯(脱水)終了後の水分を含んだ洗濯物の重量(WET 重量)を計量した。なお、洗濯後の重量は洗濯前に比べて2割ほど重くなっているが、洗濯前では水分等が含まれるために、洗濯重量に「ばらつき」が顕在化しているのに対し、洗濯後の重量には「ばらつき」が少ない事から、本実証試験では洗濯重量として洗濯後の重量を計測した。洗濯機に供給される給水温度はエコモルダーに設置した温度計で計測した。
エコモルダー稼働状態:令和6年2月1日(木)09:50 〜 13:50
エコモルダー停止状態:令和6年2月8日(木)09:35 〜 13:35
エコモルダー稼働と停止状態における各設備の電力使用量、燃料使用量を表12、表13に、重量の測定結果を表14、表15実験結果のまとめを表16に示す。
電力使用量 (kWh) | 設備名 | 消費電力量 (kWh) | 一次エネルギー量 (MJ) | CO2 排出量 Kg-CO2 |
---|---|---|---|---|
エコモルダー | 3.55 | 30.6 | 1.7 | |
ボイラ(No.1) | 2.76 | 23.9 | 1.3 | |
ボイラ(No.2) | 2.44 | 21.1 | 1.1 | |
洗濯機(No.1) | 4.32 | 37.3 | 2.0 | |
洗濯機(No.2) | 2.06 | 17.8 | 1.0 | |
洗濯機(No.3) | 4.77 | 41.2 | 2.2 | |
小計 | 19.90 | 172.0 | 9.3 | |
灯油使用量(kg) | 106.45 | 4856.8 | 332.7 | |
合計 | 5028.7 | 341.4 |
電力使用量 (kWh) | 設備名 | 消費電力量 (kWh) | 一次エネルギー量 (MJ) | CO2 排出量 Kg-CO2 |
---|---|---|---|---|
エコモルダー | 0.0 | 0.0 | 0.0 | |
ボイラ(No.1) | 2.78 | 24.0 | 1.2 | |
ボイラ(No.2) | 2.84 | 24.5 | 1.2 | |
洗濯機(No.1) | 4.49 | 38.8 | 2.0 | |
洗濯機(No.2) | 1.97 | 17.0 | 0.9 | |
洗濯機(No.3) | 4.85 | 41.9 | 2.1 | |
小計 | 16.92 | 146.2 | 7.4 | |
灯油使用量(kg) | 115.2 | 5256.0 | 360.0 | |
合計 | 5402.2 | 367.4 |
No | 項目 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 6回目 | 7回目 | 合計(平均) |
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1 | 洗濯重量(kg) | 48.4 | 14.9 | 65.4 | 37.8 | 42.2 | 45.3 | 16.5 | 270.3 |
給水温度(℃) | 43.1 | 31.1 | 43.6 | 54.1 | 54.1 | 54.2 | 49.0 | 46.7 | |
2 | 洗濯重量(kg) | 46.5 | 35.7 | 63.0 | 63.3 | 13.9 | 25.6 | 13.6 | 261.6 |
給水温度(℃) | 42.4 | 37.4 | 45.9 | 54.3 | 52.8 | 15.5 | 51.3 | 42.8 | |
3 | 洗濯重量(kg) | 58.8 | 68.3 | 103.2 | 102.6 | 52.0 | 81.6 | 466.4 | |
給水温度(℃) | 46.2 | 39.4 | 42.6 | 53.0 | 39.2 | 39.2 | 44.1 | ||
総計 | 998.2 |
No | 項目 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 6回目 | 7回目 | 8回目 | 合計(平均) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 洗濯重量(kg) | 42.9 | 56.7 | 48.6 | 36.1 | 18.8 | 35.3 | 16.1 | - | 254.5 |
給水温度(℃) | 11.8 | 12.1 | 12.4 | 12.5 | 12.1 | 11.7 | 11.9 | - | 12.1 | |
2 | 洗濯重量(kg) | 36.9 | 25.1 | 64.8 | 17.8 | 42.8 | 25.1 | 11.2 | - | 223.4 |
給水温度(℃) | 11.7 | 12.1 | 12.2 | 12.2 | 11.7 | 11.7 | 11.8 | - | 11.9 | |
3 | 洗濯重量(kg) | 52.2 | 59.3 | 49.0 | 37.7 | 39.4 | 77.0 | 72.4 | 57.7 | 444.5 |
給水温度(℃) | 12.1 | 12.3 | 12.2 | 12.2 | 12.3 | 11.8 | 11.7 | 11.9 | 12.1 | |
総計 | 922.3 |
項目 | エコモルダー稼動状態 | エコモルダー停止状態 |
---|---|---|
燃料使用量(kg) | 106.45 | 115.2 |
消費電力量(kWh) | 19.90 | 16.92 |
一次エネルギー量(MJ) | 5,028.7 | 5,402.2 |
CO2 排出量(Kg-CO2) | 341.4 | 367.4 |
洗濯重量(kg) | 998.2 | 922.3 |
洗濯重量100s当たりのエネルギー削減効果を表17に示す。
項目 | エコモルダー稼働状態 | エコモルダー停止状態 | 削減効果 % |
---|---|---|---|
燃料使用量(kg) | 10.66 | 12.49 | 14.62% |
消費電力量(kWh) | 1.99 | 1.83 | -8.67% |
一次エネルギー量(MJ) | 503.78 | 585.73 | 13.99% |
CO2 排出量(Kg-CO2) | 34.20 | 39.84 | 14.14% |
なお、計算に使用した各係数を表 18 に示す。
係数名 | 係数 | 備考(根拠) |
---|---|---|
電力一次エネルギー換算係数 | 8.64 GJ/千 kWh | R4 改正省エネ法値(電気事業者からの買電化石分) |
灯油単位発熱量 | 36.5GJ/ kL | 環境省発表「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」(令和5年12月12日更新)値 |
灯油 CO2 排出係数 | 2.50t-CO2/kL | 環境省発表「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」(令和5年12月12日更新)値 |
電力 CO2 排出係数 | 0.438 t-CO2/千 kWh | 関西電力送配電(株)R4年度実績 調整後排出係数 |
灯油比重 | 0.8kg/L | 石油学会公表値 |
洗濯機の本洗には温水を使用している。エコモルダーが停止している時は井水・市水を洗濯機に給水したのち、ボイラ蒸気で設定温度まで昇温している。エコモルダーは井水・市水を加温した上で洗濯機に給水するため、エコモルダーによる昇温温度分はボイラ蒸気による昇温時間を短縮できる。
実証試験期間における給水温度に対する平均洗濯時間の比較図を図 8 に示す。エコモルダー稼働/停止では給水温度に約34℃の差があり、これにより洗濯時間が29分59秒から28分24秒まで5.3%(1分35秒)短縮していることが確認された。
(a) フラッシュ蒸気の発生状況
乾燥機から回収したドレン水の熱エネルギーをドレンタンクで吸収しきれず、ボイラ補給水が外気飽和水蒸気圧以上になった場合は、ドレンタンクから蒸気(フラッシュ蒸気)が発生して工場外に放出される。なお、フラッシュ蒸気の発生は外気温度にも影響される。
エコモルダー稼働時は図9に示すように、エコモルダーがドレン水の熱エネルギーを回収するため、フラッシュ蒸気の発生が抑制されている。しかし、図10に示すように、エコモルダー停止時においては、フラッシュ蒸気の大気排出量が観察される。またエコモルダー停止時には何回かドレンタンク水温が補給水ポンプの限界温度以上(85℃)になったことから、図 11 に示したようにドレンタンク水を廃水(ブロー)していることが観察された。
(b) 補給水温度
実験時間中の2時間の洗濯機の給水温度とボイラ補給水の温度変化を図12及び図13に示した。エコモルダー稼働時は30〜60℃の温水を洗濯機に供給しており、エコモルダーによりドレンを吸引して利用するために、ボイラ給水温度は80℃以下に抑制されている。熱エネルギーの供給元である乾燥機からの高圧ドレン水量と需要先である洗濯機温水量のバランスで温度が変動している。
一方、エコモルダー停止時はボイラ補給水温度が高く、3回ドレンタンクから排水を行っていた。また、エコモルダー停止時は井水がそのまま洗濯機に供給されるため水温は12℃程度で一定に推移した。
以下に実証試験設備の構成機器と配管の装着の状態を図14に示す。
単位洗濯重量あたりの削減効果は、ボイラの燃料削減効果は14.62%、CO2削減効果は14.15%であった。
洗濯時間削減効果ではエコモルダー稼働による洗濯時間の削減効果が確認できた。なお、本実証試験の結果は実証試験対象設備において確認された効果であり、設備構成によっては、効果を示す数値が変動する。
エコモルダーの稼働で屋外に排出されるフラッシュ蒸気の顕著な削減効果が実証された。
一方、除鉄装置の使用状況を確認したが、鉄さび等の付着は観察されなかった。
今回の実証試験ではエコモルダーがフラッシュ蒸気を利用しており、鉄さびをほとんど含んでいないドレンの利用であったことが原因である。
以上の結果から、エコモルダーを利用することにより 10%以上の CO2 削減が可能である。
本事業が独自に定める用語を表19に示す。
用語 | 定義 |
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蒸気ドレン | 蒸気配送途中の蒸気配送管からの放熱による蒸気の温度低下で、飽和蒸気の一部が凝縮して水に戻った「復水」 |
顕熱 | 物質の温度変える温度計で計測できる熱、例えば、10℃の水を 50℃にする熱 |
潜熱 | 物質の状態を変える(相変化)ための熱、例えば、液体の水を気体の蒸気に変える見えない熱 |
スチームハンマー | ウォーターハンマーとも呼ばれ、配管内の蒸気がドレン化して塊になり、曲がり管や、ドレンの塊同士が衝突して大きな衝撃音が出る現象 |
ドレン吸引装置 | 配管で発生するドレン(結露水や排水)を効率的に排出するための装置 強力な吸引力でドレン詰まりを解消し水漏れを防ぐ装置 |
リザーブタンク | 配管内の水や蒸気温度が上昇して、装置の内圧が上がった循環流路から溢れる水や蒸気を一時的に溜めるタンク |
自然対流 | 人為的、機械的な外部からの作用なしに、温度差に伴う密度差で生じる浮力が原因で生ずる流体の動き |
背圧 | 流れの下流側における圧力で、排水側の圧力が給水側へ逆流を起こして正常な流れが形成されず惨事になる可能性がある現象 |
ドレン溜まり | 配管や装置内にドレンが溜まる現象で、溜まったドレンと高速の水蒸気との衝突でスチームハンマーが起こる原因、これを排出する手段がスチームトラップ |
配管腐食 | 配管腐食は、配管の鉄部分に水分が付着し、水分に鉄が溶け出し鉄イオンになり、空気中の酸素と鉄の反応によって酸化鉄が生成される現象 |
鉄さび | 配管腐食の結果として溶出し鉄イオンが空気中の酸素と反応した酸化鉄 |
スチームトラップ | 蒸気ドレンの除去と回収を目的に蒸気を利用する設備の配管に取り付ける自動弁、蒸気を有効活用する手段 |
永久磁石 | 永久磁石は、外部から磁場や電流の供給を受けることなく、磁石としての性質を比較的長期にわたって保持し続ける物体 |
フラッシュ蒸気 | 高圧高温のドレン(蒸気が水に相変化したもの)が低圧の雰囲気に晒されたときにドレンの一部が蒸気になる現象 |
実証が適切に実施されていることを確認するため本実証で得られたデータの品質監査は、実証機関が定める品質マネジメントシステムに従い、実証期間中に本実証から独立している部門による内部監査を行った。
内部監査の実施状況の概要を表20に示す。
内部監査実施日 | 令和6年2月22日(木) |
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内部監査実施者 | 温室効果ガス検証業務室 |
被監査部署 | CN ソリューション部 |
内部監査結果 | 内部監査を実施した。品質管理システムの要求事項に適合し,適切に実施,維持されていた。 |
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